デイリーコンサイス国語辞典 第三版
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2. 見出し
現代の一般社会人が日常生活でよく目にする語を見出しとし,「は」「が」などの助詞や「れる」などの助動詞は,見出しに立てなかった.
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3. 親見出しと子見出し
1. 親見出しは,現代仮名遣いで,和語・漢語は平仮名,外来語は片仮名で示した.
例 さくら こくさい アイス
2. 複合語は,3音節以上の上位要素部分が見出しに立っている場合,その語の子見出しとして示した.
例 「桜狩り」は,「桜」の子見出し
「北回帰線」は,「北」の子見出しにはしない
3. 連語は,原則としてその最初の構成要素の子見出しとして示した.
例 「汗の結晶」は連語で,「汗」の子見出し
4. 句は,原則としてその最初の構成要素の子見出しとして示した.
例 「手を貸す」は句で,「手」の子見出し
5. 子見出しは,▼の記号のあとに,~で親見出し該当部分を省略し,漢字仮名交じりで赤字で示した.漢字には振り仮名で読みを示した.
例 (さくら)▼~狩(が)り
(こうきょう)▼~事業(じぎょう)
(あせ)▼~の結晶(けっしょう)
(て)▼~を貸(か)・す
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4. 見出しの配列
1. 親見出しは,五十音順に並ぶ.
外来語の音引きは,ア行の仮名に読み替えて配列し,濁音・半濁音は清音のあと,拗音・促音は直音のあとに並ぶ.
例 ショーはショオの位置にくる
はい,ばい,ぱいの順
きやく,きゃくの順
かつて,かっての順
2. 子見出しは,親見出しのあとに追い込んで,~に続く部分の五十音順に配列した.
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5. アクセント
1. 見出しには,現在,最も普通に行なわれているアクセントを示した.ただし,接頭語・接尾語・語構成要素・連語・句にはアクセントを示さなかった.
2. アクセントは,下がりめのある音節を小さな数字で示した.
例 あかとんぼ3 3音節めに下がりめがあることを示す
みだし 下がりめがないので数字は示さない
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6. 表記
1.
表記は,「現代仮名遣い」「常用漢字表」「送り仮名の付け方」に基づき,現在の最も普通の書き表わし方である表記を標準表記,それ以外の表記で慣用的に使われる表記を参考表記として分けて示した.
2. 送り仮名は,「送り仮名の付け方」の本則と例外に従った送り仮名だけを示し,原則として許容の送り仮名は示さなかった.
3. 表記の示し方
この辞書では単に漢字での表記形を示すだけでなく,その語が実際にどのように書かれるかの情報をも示している.その際,ごく一般的に書かれる表記としての標準表記と,それ以外にも,ときとして用いられる参考表記とに分けた.標準表記,参考表記の識別のしかたは次の通り.
a 表記の一般的な示し方.
例 からだ[体]{:△身△体:}
「からだ」という見出しに対して,「体」が一般的な表記であり,「身体」は慣用的な表記であることを意味している.
[ ]で囲まれたものが標準表記で,{ }で囲まれたものが参考表記である.一般的に,見出し,[標準表記],{参考表記}の順に並んでいる.ただし,多くの語では,例 かんきょう[環境]のように,参考表記がないのが一般的である.
b [ ]で囲んだ表記形がない場合.
例 そっと〈副〉(1)静かに (2)…
ソフト 1 soft
それ{▲其れ}〈代〉
いずれも見出しの仮名書きそのものが標準表記であることを意味する.すなわち,「そっと」「ソフト」「それ」が標準表記である.
「それ」の場合は,「其れ」という表記は慣用的な表記であり,実際には仮名書きの「それ」が一般的だという意味である.
c 左のカッコ[がない場合.
例 あいさつ 1 ▲挨▲拶]
標準表記を示す[ ]の左側の[がない場合である.これは,「あいさつ」が,「挨拶」とも「あいさつ」とも書かれることを意味している.つまり,漢字書きも仮名書きも,ともに標準表記である.
d **の付いている場合
例 いちご**▲苺]
いのしし 3 **▲猪]
からまつ 2 唐松]{:△落△葉:松}
かもしか**{:▲羚△羊:}
からころ 1 **(音)
**が付いているのは,見出し語が動植物,または,擬音語の場合である.動植物と擬音語は,文章の中で統一的に,片仮名で表記されることがよく行なわれる.**は片仮名書きの略号である.
しかしまた,動植物と擬音語は,平仮名で表記されることもあるし,動植物では,漢字書きもありうる.
つまり,上の例で,「いちご」の場合は,「イチゴ」のほか「いちご」「苺」という表記があることを示してい
る.「からまつ」の場合は,「カラマツ」のほかに「からまつ」「唐松」という表記が一般的な表記で,「落葉松」は参考表記である.そして,「からころ」と
いう擬音語は,「カラコロ」と「からころ」が標準表記である.
e [1],[2] …や,(1),(2)…ごとに表記形が示される場合.
例 あつ・い
2〈形〉[1][熱い]
(1)(対)冷たい
(2)熱中している.
[2][暑い](対)寒い
からて[空手]
(1)[唐手]武術の一.
(2)てぶら
(類)徒手
そな・える 3
[備える]〈下〉
(1)前もって‐用意(準備)する.
(2)設備する.
(3){△具える}身につけている.
意味の違いによって表記形が違ってくる場合である.「あつい」の場合は,[1]の意味と[2]の意味とで「熱い」と「暑い」が使い分けられる.それに対して,「からて」の場合は,全般的に「空手」が使われるが,(1)の意味では「唐手」も標準表記として使われることを示している.「そなえる」の場合も,「からて」と同様であるが,(3)の「具える」は参考表記である.
f ダッシュ―の使われている表記の場合.
例 からあげ[唐揚げ/空―]
からオケ[カラ―]
ダッシュは同じ表記の省略を意味する.「からあげ」の場合は,「唐揚げ」と「空揚げ」が標準表記であり,「からオケ」は「カラオケ」が標準表記であることを示している.
g コメント欄 *で説明を加えている場合.
例 ああ 1 〈感〉(1)嘆声の一.*嗚呼は文語的表記.(2)…
のみや 2 [▲呑み屋]のみ行為をする元じめ.*ノミ屋とも書く.
標準表記,参考表記以外の表記形に関する情報である.「ああ」の場合,標準表記は仮名書きであるが,コメント
欄で,「嗚呼」と書く書き方もあるが,それは文語的な表記であることを述べている.また,「のみや」については,標準表記の「呑み屋」以外に,「ノミ屋」
と書かれることもあるという情報を示している.
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7. 品詞の表示
見出しには品詞を表示した.名詞の用法だけしかない語,および句には表示を省略した.(記号一覧を参照)
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8. 意味・用法
1. わかりきった意味の場合には,用例や対義語・類義語を示して説明の代わりとした場合がある.
2. ∥の記号で,比喩的な意味や発展的な意味,文脈や場面などで限定された意味,特定の語とつながることによって現れる意味などを示した.
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9. 記号・略語一覧
1. 記号一覧
・ 動詞・形容詞などの活用語尾を示す
1 2…… アクセントを示す
[ ] 標準表記を示す
{ } 参考表記を示す
▲ 直後の漢字が常用漢字以外の漢字であることを示す
△ 直後の漢字が常用漢字で,「常用漢字表」に示されている音訓以外の音訓であることを示す
: : あて字・熟字訓であることを示す
** その語のカタカナ表記が標準表記であることを示す
▼~ 子見出しの始まりを示す
▼ 親見出しの用例
▽ 子見出しの用例
~ 見出し該当部分などの省略を示す
∥ 比喩的な意味や発展的な意味を示す
◇ これ以下に示す情報が◇の前の全体にかかることを示す
* 用法の補足的な説明や注記などを示す
(= ) 用例などの補足的な説明
2. 略語一覧
(中) 原籍が中国語であることを示す
(朝) 原籍が朝鮮語であることを示す
(日) 日本で外国語にならって作られた語であることを示す
〈五〉五段活用の動詞 〈下〉下一段活用の動詞
〈上〉 上一段活用の動詞 〈カ〉カ行変格活用の動詞
〈スル〉サ行変格活用の動詞および複合サ変の動詞
〈ダ〉 形容動詞 〈形〉形容詞
〈副〉 副詞 〈体〉連体詞
〈接〉 接続詞 〈代〉代名詞
〈感〉 感動詞 〈助〉助詞
〈助動〉助動詞 〈連〉連語
(素) 語構成要素
(頭) 接頭語 (尾) 接尾語
(音) 擬音語 (態) 擬態語
〈と副〉「と」 が付いて副詞として使われることを示す
〈(と)副〉「と」 が付くか, あるいは 「と」が付かずに副詞として使われることを示す
(形名)形式名詞 (補動)補助動詞
〔文〕 文章語 〔仏〕 仏教語
〔俗〕 俗語 〔哲〕 哲学の用語
〔旧〕 今では使わない表現 〔法〕 法律の用語
〔古〕 古語 (対) 対義語
(類) 類義語 (派) 派生語
(動) 名詞が見出しの場合, その動詞形
(動詞が見出しに立っていない場合だけ)
類似の表現の記述が連続する場合,‐と( )を組み合わせて, 下に示すように, 記述を合併して示した.
例 …する‐こと(人) →「…すること」 と 「…する人」 の合併
…する役(‐の人) →「…する役」 と 「…する役の人」の合併
(遠くへ)投げる →「遠くへ投げる」 と 「投げる」 の合併
…する(‐重い)もの→「…するもの」 と 「…する重いもの」 の合併
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10. 著作権
デイリーコンサイス国語辞典 第3版
編者 佐竹秀雄・三省堂編修所
(C)2000-2020
発行者 株式会社 三省堂
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